『吾妻鏡』建長三(1251)年10月20日条には、「今夜、太白輿鬼を驚かす。占文に云わく、大将軍廃す」という記事があります。
ここでいう太白とは金星のことであり、輿鬼とは西洋占星術の黄道十二宮に当たる二十八宿の鬼宿のことです。
鬼宿に金星が入ったので、将軍が廃されるという凶事があるというのです。
事実その翌年に第五代将軍九条頼嗣は将軍の座を追われています。
ところが、古天文学によると、このとき鬼宿に入ったのは太白ではなく、榮星(火星)だったといいます。
『吾妻鏡』はあえて焚星を太白として誤った占文を載せ、将軍の廃位を天の意志として正当化したのである(神奈川県立金沢文庫編『中世の占い』参照)。
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